クリスマスイブの意味とイメージの差異

言葉

記憶に残る最初のクリスマス

今日はクリスマスですね。

まだ小さな頃、クリスマスの存在を知らなかった時の話。

正確にいえば、「サンタさんからプレゼントをもらえるという風習」を知らなかった、と言った方がいいでしょうか。

というのも、幼い頃は父の仕事の関係でタイのバンコクに住んでいました。

もう40年も前の話です。

当時のタイではおそらく、さほどクリスマスに関するものが広まっていなかったのではないかと思います。

(現在のバンコクがどうかはわかりません。)

そのため、「クリスマス」に触れる機会がなかったのです。

母が急死したため帰国し、地元の保育園に入ったのは11月のことでした。

ある日、友達に言われました。

「おまえ、サンタさんにたのむプレゼントきめたのか?」

サンタさん? プレゼントを頼む? 何のことだろう?と。

そうしてその存在を知ったからには、頼まないわけにはいきません。

クリスマスイブに、枕元に希望のおもちゃを書いたメモを置き、眠りにつきました。

翌朝、置かれていたのはプレゼントではなく、赤いボールペンで書かれた英語の手紙でした。

どういう経緯で置かれたかは想像して貰えばお分かりだと思いますが、何が書いてあるのかわからない。

父に聞いてみると、「あいにくこのプレゼントは切らしているので、1日待ってほしい」ということが書かれている、と。

そうして、1日遅れで初めてのクリスマスプレゼントをもらうことができました。

クリスマスのイメージ

日本でクリスマスというと、このようなクリスマスプレゼントにまつわることや、昔のドラマでしばしば取り上げられたためか「恋人同士で夜を過ごす」というイメージから、12/24、クリスマスイブの印象が強い人が多いのではないでしょうか。

そのために最近は、「プレゼントを置くのって23日の夜だっけ?」とわからなくなる人まで出始めているようです。

クリスマス当日が12/25である、ということが、すっかり忘れられているわけですね。

クリスマスイブ問題

最近、「クリスマスイブの“イブ”はイブニングのこと。クリスマスは夜から始まっているから」という話をあちらこちらで見聞きするようになりました。

そもそもどこから広まったんだろう?と調べてみると、どうやらNHKの『チコちゃんに叱られる』が発端のようです。

時刻が今のように意識される前、かつてのヨーロッパでは、1日の基準が日没となっていたとか。

つまり、「夜→朝→昼→夕方」が1日のサイクルだった、ということです。

そのため、深夜0時を1日の切り替わりとする現代の感覚とはズレてしまったわけですね。

ちなみにこれを受けて、「イブを前夜と訳すのは間違い」とまことしやかに言われています。

しかし今の実態は深夜0時に日付が変わりますから、これを誤訳と決めつけるのはどうなんでしょう。

アプリ版のOxford Dictionary of Englishで「Christmas Eve」を調べてみると、

「the day or the evening before Christmas Day, 24 Deceber」

とあり、その意味は「クリスマスの日、12月24日の前日あるいは前夜」となります。

つまり「前夜」と明記されている。それどころか、前日の意味でもあるようです。

さらに「オンライン版ロングマン現代英英辞典」で調べてみると、

「December 24th, the day before Christmas Day」

これは「12月24日、クリスマスの日の前日」ということで、もはや「夜」の要素さえありません。

これは手元にある、紙版の『LONGMAN DICTIONARY OF CONTEMPORARY ENGLISH』(1995年版……古いですね)でも同様でした。

これを見るにつけても、「イブを前夜と訳すのは間違い」というのは、歴史的経緯や由来と、現状とを混同したミスリードと言っても過言ではないでしょう。

得た情報を表面的に捉えて、惑わされることがないようにしたいものです。

みなさん自身にとってのクリスマスのイメージは、どう言うものですか?

タイトルとURLをコピーしました