印刷メディアビジネスの未来を探る:page2024レポート

イベント

page2024に行ってきました!

印刷メディアビジネスの総合展示イベントであるpageは、
業界の最新技術やトレンドを知る絶好の機会です。

今回は、特に以下の3つの展示に注目しました。

デザイナーの工程管理を支えるtr-tant

tr-tantは、デザイナーの作業工程を
可視化・管理できるクラウドサービスです。

tr-tant (デザイン現場用タスク管理アプリ)
既存のシステムは機能豊富で会社に合わない、そんなデザイン現場用タスク管理アプリ

案件情報、スケジュール、タスクなどを
一元管理することで、チーム全体の
作業効率を劇的に向上させることができます。

特に、以下の機能は、デザイナーにとって非常に魅力的です。

案件管理:複数の案件をまとめて管理できるため、
進捗状況を把握しやすくなります。

スケジュール管理では、メンバーごとに案件表示が
ガントチャートの形式で表示されます。

フェーズ(初校や再校など)や進捗も、
簡単に切り替えることができ、
色の違いで一目瞭然になっています。

日報機能で作業状況を記録することもでき、
管理者はメンバーの状態も見ることが。

集計機能もあり、案件ごとの傾向なども
見ることができます。

印刷に関係した管理ツールは様々なものが
出ていますが、デザインや制作担当者には
そぐわないものがほとんどでした。

tr-tantは、デザイナーが作成しただけあって、
デザイン、制作職を行う人には
非常に使いやすいものになっていると
思います。

各メンバーの今日の状態の把握や、
一つの仕事に複数のメンバーを
割り当てることができるなど、
デザイナーや制作オペレーターが
情報を共有し現状を把握するのに
非常に優れた仕組みでした。

しかも、個人でも導入することができて、
費用もビジネスプランでもユーザー
一人あたり月々¥500とのこと。

登録できる案件は無制限でデータ保存期間は10年。

無料で試せるフリープランでも、
案件は30件、保存期間1年とのことなので、
気軽に試せるのも嬉しいところ。

チームで行う場合は、誰が、
どこで滞っているのか、お互いに把握でき、
個人でも抱えている案件の
ヌケモレを防ぐことができるでしょう。

使用しているデザイナーの
フィードバックも常に集めている
とのことで、今後のますますの
性能アップが楽しみなサービスです。

 

InDesignと連携するLinkCube

LinkCubeは、組版アプリInDesignと
連携して、CSVファイルを書き出したり
差分チェックを行ったりできるツールです。

カタログやチラシのような、
製品を紹介する紙面を作成することが
しばしばあります。

データベースから取り出したデータを利用して、
半自動で組み上げることが多いのですが、
データが更新されておらず、
毎回のように同じ修正を強いられる、
ということも。

 

また、それと裏返しで、
紙面になってから修正した内容を
データベースに反映するための、
内容抽出が制作側に委ねられている
(発注側にその意識が乏しい)ことが多く、
その部分を取り出すのも大きな負荷となっています。

LinkCubeはInDesign内の段落スタイル名と、
エリア指定したレイヤーに基づいて、
データを抽出、CSV化。

さらに新旧データの差分を見ることで、
それを抽出データにも、
組版データにもマーキングできる
というのがかなり便利です。

クラウド型自動組版LinkCube
LinkCubeは、編集可能なInDesignドキュメントを作成する自動組版クラウドサービスです。パワフルで簡単な自動組版・めんどうな事前準備は不要・既存のInDesignデータをテンプレートにできます。月額料金制だから必要な時だけ使えます。全機能無料お試し

開発したのは、自動組版に携わって
30年という合同会社リンクキューブの石尾久さん。

InDesignが登場する前から
取り組んでいるということで、
自動組版の大家と言ってもいいと思います。

対応しているInDesignは、
最新版はもちろんのこと、
古いところではCS6にも対応しているとのことで、
いまInDesignを使って組版をしている
ほとんどの人が利用できるものと言えるでしょう。

従来の手作業による作業を大幅に効率化し、
人為的ミスの発生を抑えることができます。

ダウンロードして利用するものですが、
サブスクではなく永続ライセンスというのも
嬉しいところ。

30日間の無料体験もできるとのことなので、
カタログやチラシの組版で苦労している人は、
導入を検討してみてはいかがでしょうか。

伝統と革新が融合する和本の装幀

平安時代の経師きょうじにルーツを持つ株式会社大入。

平成の経師・大入【株式会社大入】

経師とは、仏教が国家事業として
推進されていた奈良時代に、
お経を書写する専門家として登場した職業です。

仏教が定着し、僧侶が個別に写経を
行うようになると、お経を書き写すという
経師の仕事が減少。

そのため、写経されたものを巻物や書物、
軸装など、使用・鑑賞・保管するための仕上げ、
現在でいうところの装幀を行うようになり、
現在に至っているとのこと。

現在は機械化や欧米からの装幀が普及し
和本を見る機会は少なくなっています。

みなさんが今、もっとも身近に見ることができる
和本の装幀、和装は、御朱印帳ではないかと思います。

今回、実はある事情から、
御朱印帳のような製本ができるところを探すのも、
この展示会に来た目的の一つだったのですが、
思いがけない形でそれが可能な会社に出会うことができました。

 

 

 

 

和装は、手縫いによる糸綴じ、
金箔や銀箔を用いた装飾、
和紙を使用した表紙など、
細部までこだわり抜いた仕上がりが見られ、
まさに芸術作品です。

こちらの会社はその技術を用いて、
復刻本や豪華本の装幀から、
昔の書物などの修復も行なっているとのこと。

ぜひ一度、みなさんにも伝統的な日本の
「本」の技術に触れてみてほしいと思います。

また、その技術を生かした
オリジナル商品の開発も始めていて、
それを見ることができる実店舗があるとのこと。

京都の会社なので、関西方面の方、
京都旅行をする方は、こちらも
覗いてみるのも楽しいのではないでしょうか。

mucura-kyoto

おわりに

今回はこのほか、
いつも当工房で名刺印刷をお願いしている
会社の方ともお会いでき、
新しいサービスについてのご案内もいただきました。

名刺のご依頼は個人から受けているので、
一つのデザインは一人のものになっています。

ですが、もし企業の案件を受ける場合、
ベースのデザインは共通で、
名前を始め個人情報が入れ替わります。

それを手作業で行うことは、
煩雑にもなりまた間違いの可能性も増えるため、
基本的には受けていませんでした。

それを解決するサービスがあるということなので、
今後大人数を抱える会社からのご依頼も
安心して受けられるな、と。

また、大手フォントベンダーであるモリサワから、
ついに写研書体がDTP用のフォントとして
リリースされることに。

古くから印刷や出版に携わってきた方は、
写研といえば今でも根強い人気を誇る、
一時代を築いた書体であることはご存知だと思います。

こちらを現在のデジタル環境でも使えるように
なるとのことで、楽しみな方も少なくないでしょう。

今だからこその新しい機能や製品が生まれている一方、
和装もそうですが、古いものが
今の時代に合うように作り変えられて、
また色々な人の手元に届くことになるということで、
いろいろと得るものの多かった展示会見学となりました。

page2024は、2/16まで開催。
会場はサンシャインシティ・文化会館の
展示ホールB・C・Dです。

今回紹介した以外にも、印刷関連の技術や機械の紹介が
されています。

会場に行く前に登録しておけば
無料で入場できるので、
お時間ある方は覗いてみることを
お勧めします。

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