2007年に発生した大混乱──JISの新字形をMSが搭載した結果

未分類

JISの改訂によって「漢字の形が変わった」問題。

一般の人には果たして、
どれほど知られているのでしょう。

パソコンなどで表示させる
漢字の字形
を定めているのは、
JIS X 0213ですが、
これが2004年に大きく改訂されました。

それによって、以下の文字をはじめ、
168文字の字形が変更になりました。

芦飴茨噂葛鯖煎噌辻兎餅……
(それぞれ、どんな字形に見えているでしょうか?)

ただ、この時点では規定されただけで、
それほど大きく取り上げられることは
なかったようです。

それが大きく動いたのが、2007年。

MicrosoftのWindowsで、
新バージョン「Vista」が登場したのですが、
この時に標準搭載のフォント、
MS明朝・MSゴシックが、
JISに合わせて字形を変更してきたのでした。

(しかもなぜか、中途半端に122文字)

ここで大きな問題になったのが、
フォント名を変えずに
「バージョンの更新」
という形をとったこと。

そのため、2つの大きな問題が発生しました。

ひとつは、同じファイルでも、
開くパソコンを変えると
字形が変わってしまうこと。

もうひとつは、
それをどちらの字形で作ったのかは、
ファイルを見てもわからない、
ということでした。

漢字の細かい字形など知らん!

という方にはどっちでもいいこと
でしょうが、印刷業界では
特に大騒ぎになりました。

最も大きかったのは、
人名など固有名詞の点。

戸籍との兼ね合いや、
画数を気にする方が少なくないことから、
どれを正しい形として出していくかは
非常に大きな問題だったのです。

怖いのは、もともと同じ文字の
字形違いを別の文字コードとして
搭載していたものが、
この改訂で変更された結果、
交互に入れ替えられてしまったこと。

(しんにょうの点が1個か2個か、など)

これによって、
「どっちがどっち?」
ということが、
よりわかりにくくなってしまったのです。

ちなみにこれを一覧にした資料があったのですが、
現在行方不明……

見つかったら、お知らせします。

こうした問題もあり、
MS以外は新しいJISに
対応したフォントには
「N」をつけることが
一般的になりました。

ただしこれは、
それまであったフォントの新JIS対応版、
といった意味合いなので、
新しいフォントについては
その限りではありません。

また、この問題が印刷業や
公務員(戸籍などを扱うため)など、
一部の業界にとどまったためか、
一般に知られることのないまま、
ここまできてしまった印象です。

印刷物よりもWebやアプリなど、
スマホやパソコンなどの
コンピュータ上で文字を見る機会が増え、
ますます問題はややこしさを
増しているのですが、
みなさんはこの字形について、
どのように考えているのでしょうか。

気になるところです。

タイトルとURLをコピーしました